3,300年前に使われていた、漢字のルーツとなる古代象形文字(甲骨文字・金文)は、現在とは違った意味を持つ文字が多くあります。
神の神託を聞くために使われていた「甲骨文字」は、動物の骨や甲羅に刻まれていました。その後に生まれた「金文」は、鋳物(青銅器)に記された文字です。

今回書かせていただいた「古代文字の成り立ち」を書かせていただきました。3,300年前に思いを馳せてご覧いただけると幸いです。

文字の成り立ちについては、古代文字研究者の白川静氏の「漢字類編」を中心に、落合淳思氏、中国のサイト、AIを参考にして書かせていただいております。また、秦の始皇帝が漢字を制定した際に作られた「篆書」以降しかない文字は(篆書は古代文字ではないので)【現代書】で表現させて頂きました。

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〇美
羊の全体の姿を上から見た図。古代において、神に生贄にささげる羊は貴重なものであった。大きな羊は貴重で「大きく肥えた羊は「美しい(善い)」とされたことに由来している。また、羊の被り物をした王の姿との説もある。

〇康
脱穀の形。両手で杵を持ち、穀物の殻を取り除く様子。穀物が実り、生活が安定している状態。

◯真(旧字体:眞)

「逆さまになった人(死者)」と神聖な器である「鼎」の形。死者は嘘を付いたり、自分を飾ったりしない事から、「嘘のないありのままの姿(真)」とされた。さらに鼎に魂を収めて密閉すると、外側から飾られることも、中身が漏れ出すこともない。そこから、「真実の霊魂」「欠け目のない純粋な状態」「変化しないもの」「本源的 なもの」「中身がぎっしり詰まった物」として「真」の意味になった。


〇司
「神の言葉(祝詞)」司る神官が、儀式を行う図。この場合の「口」の形は、「サイ」という、祝詞が入っている器の事。その脇に人が立っている。

「口頭で右手で指示を出している人の姿」という説もある。

〇基
土や石を詰めた竹籠を使って壁を作ること。壁を作る作業が終わると建築の基礎(土台)ができる。そこから拡張され、「開始」の意味にもなった。

〇志
上の「士」は「之」の古形で、足の象形であり、「行く」の意味を持つ。「心」と「之」の形で「心に目標や方向性を向ける」「心が行く」事を意味する。

◯良

穀物を選別する道具。袋の上から穀物を入れ、ふるいにかけて良い物を選び出す様子。「水で研いで、汚れを洗い流して綺麗にいている様子」の説もある。

〇弓
弓の象形。

〇敏
女性が手で素早く器用に髪を梳く「素早い動き」の意味。「手で髪飾りをつけている女性」「祭事にあたり、髪飾りを付けた女性が髪に手を添えながら、祭事に勤しむ女性」の説もある。素早く髪を梳いて「着飾る女性」から、「迅速かつ効率的に仕事をこなせる人」の意味につながった。


〇光
古代では「火」は貴重であり、生命を守ってくれる「神」であった。神に仕える神官が、跪いて神聖な神である「光」を守る姿を横から見た図。

〇陽
神が使う天と地を結ぶ梯子の前の供物台の上に、貴重な「玉(ぎょく/神聖な力を持つ、宝石以上に貴重で美しい石)」が乗せられ、玉の輝く光が下に差し込んでいる図。その光で清められ、威霊が増すこと。※「天と地を結ぶ階段」のエピソードは、旧約聖書「ヤコブの梯子」にも出ています。

〇恵
上の部分を括った袋の形。「回転させて糸を巻く装置」の説もある。回転させて、周囲から中心に向かって丸く巻き込む様子から、「相手を自分に抱き込む」→「相手を思いやる・相手を思いやって施す」意味へと広がりが出た。

◯真(旧字体:眞)
死者を祭祀に使う器に納めて霊を鎮め、真実の姿に戻す(昇華させる) という葬送儀礼に由来する。「真実の霊魂」「本源的 なもの」という神聖な意味を持っていた。

◯律

法令を制定した物を、手に持った筆で書き記し、それを発布する意味。

〇夏
冠を付け、手足でまう姿。先祖への奉納の舞をしている姿。

◯厚

崖下の聖なる石室(廟)に、匂い酒を奉納する形。

◯加

農具の鋤と、サイ(神への祝詞を入れた器の形)。農具を祓い清める事で、機能を高めようとした。

◯裕

衣服を指す衣偏と、窪地(谷)の形。衣服をゆったりと着ていて、すき間(窪み)がある事から、「物や心にゆとりがある」意味になった。


◯文

「聖なる存在」なる為に、胸に入れ墨をした人の形。線の交差した内部に心臓の形を表現している物もある。

◯則
刀と鼎(3本足の青銅器の器)の形。円鼎に刻まれた物は、重要な条約として法律化された。

◯和
軍門で神に誓い、休戦条約を結ぶ調印をする事から、「和」の意味になった。「禾」は、実った穀物が頭を垂れている「のぎへん」ではなく、軍門のこと。

◯智
矢と盾とサイ(神の祝詞を入れた器)の形。神聖な兵器を持って、神に誓う意味。

◯昭
祝詞を捧げる人の姿と、太陽の形。神聖な神や先祖の霊が降りてくる様に招き、祈り、その力が現れて周囲を照らしている状態。

◯貴

高価な宝物である玉(宝石や貝)を神に向かって、両手で捧げ持っている形。

◯宮
神や先祖を祀る屋根のある廟に、部屋や空間が2つある(=大きな家)こと。

◯里

田と土(土の神)の形。農作地に土の神を祀る所があり、集落となった。

◯長
髪の毛の長い人の姿

◯谷
谷川の出口の形。

◯尚
天窓の下にサイ(神への祝詞を入れる器)を置き、神を迎え入れる意味。

◯本

「木」の下部に一小点を加えたもの。「木の根元」「物事の根源」を意味する。

◯千
「人」の形に一本の線を加えたもの。横線は「千」という数を示すための印(符号)で、「一まとまりの人々」や「多くの人」を表すことで、数の「1000」を意味するようになった。

◯典

重要書類や神聖な儀式の記録がなされた書物(竹簡)を丁寧に捧げ持つ形。


〇史
神への祝詞を入れる容器(サイ)に棒を付けた物を、心霊に捧げる為に手に持っている図。